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山行報告:飯豊川本流


ルート図

行程

  • 8月18日 静岡=東京=胎内市
  • 8月19日 胎内にて準備
  • 8月20日 駐車場ー湯平温泉ー550m廊下手前
  • 8月21日 ―下部ゴルジューヒルカル入口
  • 8月22日 ーヒルカルの悪場ー孫右衛門出合
  • 8月23日 ーノコギリ尾根ー洗濯沢出合
  • 8月24日 ー孫右衛門ー駐車場=胎内
  • 8月25日 胎内市

メンバー

佐々木、永井、小坂(京都府立医科大山岳部)、ヘイキ


5日かけて全行程の半分で敗退。自分の力無さを感じたが充実した遡行だった。蛇も食えた。これからどんどん、ゴルジュ突破能力を上げていきたい。

text:ヘイキ photos:ヘイキ、小坂


8月18日

静岡/東京=埼玉=胎内

永井が静岡から、ヘイキが東京からケンケン宅に移動、晩ご飯ご馳走になって高速で胎内まで。ついたのは朝。


8月19日

胎内市

胎内のBC(ケンケンのお父さんの家)で北海道から来る小坂を待ちながら準備し、登山道具屋さんで買い足したりして、夜の前夜祭では久保田の万寿をご馳走になった。うれしすぎる。


8月20日 快晴

駐車場(10:00)―湯平温泉(14:00)―廊下手前(17:00)

立派過ぎる鍵がかかっていて車が加治川治ダムまでしか入らなかった。12km林道を地下足袋で挑戦!インナーソールは2重にすべきだった。小坂が蛇を追いかけるが捕まらず。蒸し蒸し猛暑の中、延々と続く林道の末、湯平温泉に到着。温泉のおじさんがこれうえない酸っぱい梅干しをくれた。ありがたや。

温泉が熱すぎて入れなかった。ちょっと休憩して遡行開始。最初から激流と戦う。川が白く泡立ち、底が見えなくて苦労するところもあった。午後4時から幕営地を探したがゴルジュの中でなかった。自衛隊経験の永井が、ちょっと斜面でも何とか寝れるよ、と左岸の樹林帯をさした。もろい壁を登ってみたら、なんと頑張って寝られそうな場所があった。

薪刈りはロープを出して、懸垂で幕営地まで運んだ。50cm*50cmのちょっと平らなところで火を灯し、ウィンナーと食べ、ビールを飲み、入渓を祝った。寝る場所が狭く、小坂の足がぶらぶらしていて、ザックも夜中に一回転んで落ちたが面白い初日だった。


8月21日 快晴

起床(5:00)―第1巻終了(7:30)―第2巻(8:15)―第2巻終了(9:30)―ヒルカル手前(11:30)―行動終了(12:30)

朝起きて、ご飯食べて、目の前に見える廊下が通れそうでなかったのでそのまま巻いた。しばらく川を楽しんで行くと手を拒む滝が出て、これを右岸の岩場を抜けたブッシュ帯より巻いた。

また楽しく行くと今度はでかいチョックストーンの滝で、左のチムニーしか登れそうにない。しかしチムニーの取り付きまで激流である。ハンマーを投げて、20回目くらいで引っかかって、小坂がFIXを張る。作業が終わった時点で昼過ぎ。ヒルカルの突破をやって見るか、少し戻ったところでビバークするか、悩むがヒルカルの途中では泊まれそうにないから行動を早く打ちきって宴会にする。


8月22日 快晴

起床(5:00)―ヒルカルの大曲がり(7:30)―人工トラバース上(8:45)―巻開始(9:50)―巻終了(16:00)―孫右衛門沢出合(17:00)

起きて早速前日のFIXに向かう。激流の水が冷たいが、荷揚げで体が温まる。少し進むと左岸に聳える砦が現れ、川が90度曲がる。ヒルカルの悪場である。そこに入ってみるとまずは水流の中を歩く。幸い、深くない。次にさらに狭い激流になるが、右側の壁が登れそうだ。低く登ってボルダームーブで抜けるか、高く登ってトラバースするか。永井が潜って、小坂が永井の肩に乗ってボルダームーブを突破。次にちょっと迷うが残置ハーケンにアブミをかけて川に降りる。

次は滝の上で岩から岩へ飛び込まないといけない。小坂はノリがいいのでリードをお願い。ぎりぎり何とかなって、荷物を4人で引っ張り上げながら運ぶ。永井が落ちて流されそうになるが下の石に立てた。全員揃って、上流に進んで、今度は大靜だ。ヘイキが泳いでみるがちょっと厳しい。右岸の岩場からブッシュと、高巻くことにする。1P目、もろい滝の右上まで。2P目、壁と巨岩の間を右へトラバース。3P目、木を頼りに垂壁のルンゼを抜け、緩傾斜帯へ。4人なのでここまで3時間。

ブッシュを延々と巻く。メンバーの心が折れ始める。途中の枝沢でシマヘビをゲット!蛇を焼くことが楽しみになり辛くても巻きつづける。不動滝とその手前の雪渓も見れる。いよいよ緩い尾根について、沢に戻れた。6時間の長い、長い巻だった。その場で泊まりたい人もいたがベストではなかったので、30分上流の孫右衛門沢出合まで歩いた。ちょっと飛び込みもあったがつかれていたのでどうでもよかった。

夜の宴会はおいしいご飯、おいしいお酒、おいしい蛇で一日の疲れが取れた。


8月23日 快晴

起床(5:20)―ゴルジュ手前(8:00)―リッジ(9:30)―岩場(10:45)―引き返し点(12:00)―ゴルジュ手前(16:30)―洗濯沢出合(17:30)

今日どこまでいけるかで成功か敗退が決まるとの覚悟で出発。上部ゴルジュにつくとまず、登れそうにない廊下の滝。右岸のルンゼを尾根上に抜ける。怖いがロープを出さない。尾根上に出たら、下に見える雪渓を観察。一番奥が切れており、そこに滝があり、左右の壁がジャンプしても届きそうにない。選択肢は二つ、雪渓に降りて、切れる手前から右岸のルンゼに入って、急なブッシュから巻くか、今いる尾根を登って、大きく巻くか。尾根を上部まで抜けたら比較的にやさしくトラバースできそうな緩いブッシュ帯があったので後者にした。

しかし、1時間くらい登ったら、なんと岩場にぶつかった。ちょっと偵察してからクライミングシューズで右から登ることにした。垂直に近いところもあったがIII級程度。上に抜けたらナイフエッジ。まだよかったが、さらに登ったらブッシュに被われた急傾斜のナイフエッジになった。登ろうにしても半端ない時間がかかる。

先が暗くなった。ここからはトラバースもできず、登りもできず、戻るしかない。しかしもう昼過ぎなので雪渓に降りてもどこまでいけるだろう?いろいろともっとも早そうな下り道を考えたところ、登ったところを降りて、懸垂できるくらい木があることを祈って、洗濯沢まで戻るしかない、と分かった。時間のロスが大きすぎて、もう成功させる日数がない。

懸垂とクライムダウンを何時間かかけて繰り替えして、最後に50m懸垂をして、沢に立った。腕が猛烈に日光を喰らっていた。下りの滝で飛び込みをしたり、洗濯沢出合の快適な幕営地についた。


8月24日 快晴

起床(5:30)―孫右衛門沢出合(7:40)―登山道(9:40)―駐車場(16:20)

孫右衛門沢の左俣を登って、水が多そうな方を選びながらいったらヤブ漕ぎ3分で登山道についた。今度、ここから沢に入ってリベンジできるように目印を貼っておいた。シマヘビを一匹捕まえた。湯平までは3時間程度の登山道歩きだった。ついたらまた梅干しをいただき、温泉に入った。相変わらず激熱だったが日焼けにいいと思い込み我慢した。近くのボルダーから釜に飛び込んだりして小坂が半回転で痛い思いをした。さっぱりして、駐車場までの登山道でまたぐたぐたして、またシマヘビ一匹捕まって、車についた途端、疲れが骨まで感じた。時間の感覚がおかしくなるほどどきどきまんまりの5日間が終わった。


8月25日 快晴

胎内市

ケンケンが蛇の呪いで倒れて入院。


総括

行ったことのあった沢の中で、群を抜いて素晴らしい。5日間常に緊張感を持ち、緩みがなかった。

反省点として、天気で恵まれていたのに完成できなかったことは時間のロスが原因。まず、2日目の行動を早く打ちきったことについてだが、ヒルカルは結局偉い時間がかかったので、もし2日目に行って同じルートを選んだら、大変な目にあっただろう。しかし、ヒルカルのトラバースそのものは問題があった:大靜をまともに泳ごうとせず巻いてしまったことが、諦めが早すぎた(水の冷たさの根性が足りなかった・・)。もし不動の滝下の雪渓まで頑張れたら、巻が3時間少なくて済んだかもしれない。最後、4日目の巻だが、上に行かず雪渓に降りるべきだった;実際に行ってみたら何とかなったかもしれない。次回の課題である。

全体を通して、非常によかった。今回は完成できなかったがまた来年、上部に挑戦したい。蛇たち、待ちな!


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