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行程
- 3月10日 静岡=松本=中の湯−明神
- 3月11日 −徳沢−2200m地点
- 3月12日 −長塀山−蝶ヶ岳−蝶ヶ岳ヒュッテ
- 3月13日 −常念岳−常念小屋
- 3月14日 −横通岳山頂直下のコル
- 3月15日 −大天井岳−燕山荘
- 3月16日 −中房−宮城
メンバー
青木、佐々木、青島、伊藤
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春合宿に槍穂の眺めのいい蝶〜常念の稜線から、去年通った燕から大天井の稜線を繋げるコースを選んだ。
去年より全体的に雪が多く毎日行動して1週間かかった。
樹林帯のラッセル、快晴の稜線、その後の吹雪の中のテント泊などいろいろあった合宿の報告。
text:青木 photos:青木
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3月10日 曇りのち晴れ
静岡5:55=浜松7:10=松本12:30=中の湯=15:40−明神19:20−テント設営20:00
松本から高山行きのバスに乗り、中の湯で降りて歩き出す。天気は曇りで、雪がちらつく。
除雪された道を進み、河童橋の辺りで暗くなる。明神橋を渡り除雪された道を進むが、またもとの橋に戻ってしまう。
暗くて道が分からないので信大の研究所そばにテントを張って就寝。
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3月11日 快晴
起床4:30−出発7:00−徳沢8:00−2200m地点15:00−就寝21:00
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朝から快晴となる。徳沢からは明神岳が良く見える。小屋の裏から尾根に取付く。
急な傾斜が続き、ひざ辺りのラッセルとなる。青島のペースが上がらないので、みんなで荷物を分担する。
重い荷物のためペースが上がらず、2200m地点でテントを張る。
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3月12日 快晴
起床4:00−出発6:30−長塀山10:00−蝶ヶ岳12:30−蝶ヶ岳ヒュッテ12:45−就寝21:30
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天気は快晴。
しばらく樹林帯で膝上のラッセルを続けると、傾斜が緩み木の隙間から穂高が見えるようになり視界が開けてくる。
長塀山は雪に埋まっていてそれとはっきり分からない。池を通過すると、木もまばらになり、蝶ヶ岳に着く。
山頂からは穂高連峰が一望できる。
地図ではさらに北のピークを山頂としているが、標識では手前の最高点の2677mを山頂としていた。
ここまでのラッセルで雪山初めての伊藤が結構頑張ってくれた。
山頂から下ってすぐのところにある蝶ヶ岳ヒュッテの冬期小屋を使わせてもらった。
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3月13日 晴れ後曇り
起床4:00−出発6:00−2512mピーク10:00−常念岳14:30−常念小屋15:00−就寝
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小屋を出発してしばらくは、なだらかな稜線で雪は風に飛ばされて少ないが、蝶槍を越えた辺りから樹林帯となり
雪が深くなる。常念岳の登りは、岩が所々に出ていて険しい。山頂付近は雪壁となっている。登りがきつかった。
頂上からは大天井岳に続くなだらかな稜線を一望できる。
山頂辺りで出てきた雲・風はその後の荒天を示すものだった。
下ったコルに常念小屋があり、冬期小屋を掘り出して使わせてもらった。
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3月14日 吹雪
起床4:00−出発6:00−2727mピーク付近11:00−就寝
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朝から吹雪いていて行くか迷うが、計画の日程より遅れていて少しでも進みたかったし
この程度の吹雪なら大丈夫と考えたのが失敗だった。
始めこそ夏道が判別できたが、トラバースにさしかかって道が分からなくなった。
視界はほとんど無く、地形も広大な斜面のトラバースであり判別しにくく現在地が分からなくなるが、
そのままトラバースすればいいと考え地図とコンパスを使いながら慎重に進む。
ところが、思いがけず急に下っていてコンパスの示す方向に進むと右側は崖になっていると思われ、
視界がない状態では怖かったので、登り返して斜面の雪を削って斜めのところに何とかテントを張った。
テントを張ってるときが顔が寒くて辛かった。伊藤がストラップが壊れたまま被っていたヘルメットを無くした。
テントは風と積もった雪で押しつぶされ不快な一夜となった。
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3月15日 快晴
起床5:00−出発7:30−東天井岳10:00−大天井岳14:30−燕山荘19:30−就寝22:00
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吹雪は夜のうちに止んで快晴となりやっと自分の現在地を把握できて、昨日下っていたのは
東天井岳との間のコルだと分かった。
テントの撤収中、伊藤が鍋を落とした。
勢い良く転がる鍋を見て呆然としたが鍋がないと水すら作れないので取りに行ってもらった。
東天井岳を登っているとき青島がピッケルを持っていないことに気づいたが、
本当に無くしたかもしれないと思い諦めて進んだ。
その後、東天井岳を越えたコルで休憩していると、伊藤もピッケルが無いことに気づきさすがにまずいと思って
テン場に戻った。掘るとすぐにピッケルが見つかり確認すべきだったと後悔した。
時間にして1時間半と少なからぬ体力のロスになった。
大天井岳まではなだらかな道で、所々地面が出ている。大天荘を過ぎるとすぐ頂上に着く。
ここからの下りは、このルート唯一の危険箇所で岩をクライムダウンしたり雪壁を後ろ向きで降りたりした。
燕までの稜線は、去年歩いた記憶ではサクサク進めた気がしていたものの小さなアップダウンがあり、
昨夜レーションしか食べていない空腹と今までの疲労があって全員フラフラになりながらも歩く。
日も暮れてしまい、山荘を通り過ぎてしまったのではないかと思った頃、山荘に到着できた。
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3月16日 晴れ
起床4:00−出発7:30−合戦小屋8:30−中房温泉11:30−宮城14:45−穂高16:30−浜松24:00 |
朝から風が強い。今日中に家に帰りたかったので燕岳山頂は割愛した。尾根は赤布があるので迷うことは無い。
合戦小屋の下から左の沢をシリセードで下った。
最初のうちは滑れたが、下のほうでは滝になっていて巻いたり雪壁のクライムダウンがあったり、
斜面が崩れていたりしてこの下降路はよくない。
中房からの道も雪で埋まっていて、去年よりも雪が多いと感じた。
林道にサルの群れがいた。
宮城ゲートでタクシーを呼んで温泉に行き、再びタクシーで穂高駅に行って家路に着いたが、
静岡まで帰れない佐々木・青島は松本に泊まったとのこと。
宮城ゲートから歩いて1kmほどのところに温泉があり、それをつかうと便利。
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総話
連日のラッセルは体力的にハードだった。
メンバーも頑張ってくれて、積極的にラッセルを交代してくれて助かった。
起床時間を守って、素早く準備ができたのも良かった。
比較的容易な縦走と考えていたが、反省点もある。
まず、リーダーとして状況判断力が甘かった。
的確な指示ができなければメンバーの統率ができないことを感じた。
さらに、メンバーも雪山に慣れていない部分があった。もっと雪山に来て欲しい。
合宿はあくまで本番であり、それまでに基本的な技術はマスターしていなければいけない。
合宿に参加する前に、事前の山行にも参加しましょう。
そして、ご飯はしっかり食べたほうがいい。
全体的には天気も良く素晴らしい景色を見れたし、
深いラッセルや、行動中人に会わなかったことなど雪山の醍醐味を感じられた山行であった。
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