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行程
- 8月24日〜8月31日 文科省登山研修会(青木)
- 9月1日 富山で合流−立山
- 9月2日 −室堂−剱沢テン場
- 9月3日 −別山岩場で練習
- 9月4日 −熊の岩
- 9月5日〜9月9日 −Y峰フェース−前半組下山−後半組合流
- 9月10日〜9月14日 −Y峰フェース・チンネ−下山
メンバー
- 前半;ヘイキ,虎谷(寅さん),伊藤(ようへい),佐々木(けんけん),青島(あゆみん),青木(賢)
- 後半;真先,平川,青木(賢)
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夏合宿の2つ目は剱岳でアルパイン。僕は、研修に参加したので結局3週間富山にいた。前半は、台風の襲来で停滞もあったが、
後半は天気が良くてずっと登れた。長い長い剱生活の報告。
text:青木 photos:青木、ヘイキ、平川
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8月24日〜8月31日 登山研修会
磐田=富山=立山…研修所−剱岳周辺の岩場−立山
僕は1人で、文科省の大学生登山リーダー研修会夏山2に参加。
1週間の日程で、まず立山の研修所で講義を受け人工岩場でマルチピッチの練習、その後、実際に剱岳周辺の岩場に出かけて登った。
入山初日は別山の岩場でカム・ナッツの使い方をやり、翌日は雨のため長次郎谷出合いでハーケン打ちの後、
前進基地で登山医学の講義、最終日は源次郎尾根T峰名古屋大ルートを登り、本峰経由で基地に戻った。
最終日、ルートを抜けて本峰につく頃には天気が悪化、結局ヘッテン行動になった。
そして、翌日搬出訓練をしながら立山に戻り、最終日に講義を受けて終了という日程だった。
すごく勉強になった1週間だったし、他大学のモチベーションの高い人たちと過ごしたことで、個人的に大変刺激を受けた。
講師の方には非常に良くサポートしていただいて、本当に感謝しています。
来年もやる気のある人は行ったほうがいいと思う。
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9月1日 曇り
立山=富山…16:40みんなと合流=23:00立山
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研修所に後泊して、朝、富山に行った。足りない装備や食糧を買い出したり、自転車でユニクロに行ったりした。
その後、みんなと合流しご飯を食べ立山でステビバ。
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9月2日 雨
5:30起床=室堂−11:45剱沢テン場−22:00就寝
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室堂は曇り。別山乗越に向かっていると雨が降り出し、御前小屋でストーブに当たらせてもらった。
剱沢テン場に着きテントを張った。しばらくしたら、少し晴れてきたがもはや岩場に行く気がなく(酒のせいだったか)
その日はご飯を作って就寝。荷物が非常に重くて疲れた。
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9月3日 晴れ
6:15起床−9:00出発−9:45別山岩場−17:30テン場−21:30就寝
踏み跡をたどり別山の岩場へ向かう。ここで、カム・ナッツの練習、マルチピッチ・懸垂下降の練習を行った。
この岩場はこうした練習に最適で、Y峰フェース等に向かう前に新人を練習させるにはいいと思う。
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9月4日 晴れ
6:15起床−9:00出発−10:20長次郎谷出合−13:30熊の岩−22:00就寝
朝、ようへい(伊藤)が合流。
話を聞くと、なんと昨日テン場に着いていながら僕らのテントが分からず、タダで山小屋に泊めてもらったとのこと。
道をしばらく歩いて、剱沢雪渓に降り立つ。長次郎谷は急な雪渓で軽アイゼンの人は注意を要する。
途中、雪渓が崩れているため左の岩を登った。荷物が重くて疲れた。
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9月5日 晴れのち雨
4:30起床−7:50出発−8:20取付き−12:00Aフェース魚津高終了−16:15Cフェース剣稜会終了−20:30就寝
2パーティに分かれてAフェースとCフェースを交互に登った。
メンバーの組合せは、ヘイキさん・ようへい・あゆみん、僕・寅さん・けんけん、だった。
上の記録は僕のパーティのもので、ヘイキさんたちはもっと早く終了。
まず、魚津高ルートに行ったがルートが良く分からず取付きを間違え、それでも残置を追っていったら悪いチムニーに入りこんだ。
結局ギアがなくなり、ピッチも切れずランナーも取れなくて怖い思いをしながら何とか抜けた。
その後は、左に行って簡単になって終了。
次に、剣稜会ルートに行った。ここも、ルートが良く分からず、どこでも登れそうだったので目の前のクラックを登った。
ところが次第に天候が悪化し、4P目で雨が降り出しずぶ濡れになった。
寅さんは500円のビニールガッパで寒そうだった。
下っているとき、雷鳥が姿を現した。
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9月6日〜7日 台風9号のため停滞
2日間、台風9号による悪天のため停滞。
6テンはさほどでもなかったが、ゴアライトは浸水が激しく入り口のファスナーも壊れているため
、けんけん・あゆみんの2人は大変だったろう。
寅さん、ようへいもシュラフが濡れたため寒かったらしい。シュラフは濡らさないことが肝要。
トランプなどをして過ごした。
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9月8日 霧
起床−出発−池ノ谷乗越−三ノ窓−熊の岩−就寝
雨がやんだので、チンネに向かった。雪渓をしばらく登り、ガレたルンゼをつめ池ノ谷乗越へ。
そこから池ノ谷ガリーを下って三ノ窓に到着。落石には注意を要する。
しかし、岩が濡れていることが予想され、しばらく待ったものの天候は回復する兆しもないためチンネは登らず、
北方稜線をたどって本峰に向かうことにした。
本峰までの道は、踏み跡があるもののちょっとしたクライミングもあって簡単ではない。
頂上には、登山者がたくさんいた。しばらく滞在の後、長次郎のコルからガレ場を下って帰った。
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9月9日 快晴
起床−出発−Dフェース富山大取付−11:30前半組下山−12:30後半組到着−20:30就寝
朝から快晴となった。前半組は今日で下山ということで、最後に富山大ルートに行った。
僕は自信がなかったので、ヘイキさんたちの後について登ることにした。最初は日陰になっていて寒く、岩も冷たくて辛かった。
1P目が一番難しかった気がする。上部のピッチでもたついて、ヘイキさんたちよりも1時間近く遅れてしまった。
その後テントに戻り、みんなは帰り支度をして、昨日下った所を登って本峰経由で帰っていった。バイバイ。
1時間ほどして、後半組の真先君・平川さんが到着した。前半組がまだ居ると思っていたらしく、食糧を大量に持ってきた。
前半組が残していった食糧もまだあったため、それから豪華な食事が続いた。
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9月10日 晴れ
6:30起床−8:00出発−8:30Aフェース魚津高取付−10:30終了−12:50帰幕−就寝
僕がリードで、魚津高ルートに行った。今回はスムーズに登れた。一連の操作にもだいぶ慣れてきた。
天気の良いうちにチンネにいこうということになって早めに就寝。この日は写真がない。
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9月11日 快晴
3:30起床−5:00出発−7:30チンネ左稜線取付−14:40終了−16:30帰幕−21:30就寝
早く起床してスムーズに準備ができたため、早めに出発できた。
ところが、池ノ谷乗越を間違え1つ右のルンゼを少し登ってしまい、タイムロス。
三ノ窓からは富山の町が良く見え、下界が恋しくなる。
じゃんけんにより下半分は真先君リードで、上半分は僕がリードに決めた。
1P目上部が悪い。A0で抜ける。その後、ピナクルを回りこんで、リッジを普通に歩いてテラスでリードを交代する。
僕がリードするが、やはりルートが良く分からない。難しくはないので適当に登るが、どこでピッチをきるか良く分からず
支点を作るのに時間がかかったのは反省点だった。
その後、ピナクルの林立する核心が始まる。クラックを登りピナクルの上に出ると、X級のハングが見えてくる。やばい。
かなりビビリながら、テンションかけまくって何とか抜ける。ハングを抜けたところで、ハーケンを打ち足してビレイをした。
しばらく登るとリッジになるが、ロープの流れが悪く苦労した。
結局、7時間以上かかった。
それも、ルートがどこだろうと探していたり、支点構築に手間取ったりしたためだ。クライミング自体も遅かった。
もっと外岩の経験を積んで、こういうピッチでも問題なくリードできるようになりたい。
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9月12日 雨のち晴れ
9:00起床−11:00出発−11:30CフェースRCC取付−14:50終了−16:00帰幕−21:10就寝
昨晩から雨が降りだし、朝起きたところまだ降っていたため再び眠りにつく。
RCCルートは誰も行ったことがなかったので行くことにして、香織さんにリードしてもらった。
トラバースのピッチがちょっと悪い。
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9月13日 快晴
5:30起床−7:xxCフェース剣稜会−11:00Aフェース中大−帰幕−就寝
僕は剣稜会はすでに登っているので、まだ登っていない2人で登ってもらって、テントで天気図をとったりしていた。
そして、中大ルートに向かう。
1P目はホールドの細かいフェースでは良く集中してうまく登れた。2P目はチムニーを登ってカンテに出てしまい、
魚津高に合流した気がする。
しかし、最後にこの合宿(剱生活)の集大成といえるようなクライミングができたし、3週間前よりも成長したなと感じることができた。
この充実感はリードならではであろう。最後にリードをさせてくれてありがとう。
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9月14日 雨
2:45起床−5:00熊の岩−剱沢−御前小屋−みくりが池温泉−室堂=富山=米原=浜松・静岡
朝から雨でテンションが下がる。早起きして明るくなるのと同時に下り始める。
数日前に巨大な落石を見たため、後ろに気をつけながら歩く。
雪渓はだいぶ減っていて、雪渓の上に転がっている落石が増えていた。
雪渓が崩れている箇所で、岩場をクライムダウンした。
雪渓に再び下りようとしたが崩れているため、もう少しクライムダウンすることにした。
すると、錆びたリングボルトがあり懸垂するようだったが、支点が心配だったので荷物を降ろして
空身でクライムダウンすればいいと思った。
真先君のザックが不注意で落ち、真先君が香織さんの荷物を降ろしつつ先に下に降りた。
次に僕の荷物と香織さんが降りた。僕は、ロープを支点に通してそれをつかんで降りようと思っていたが
途中でロープが足りなくなりロープを回収して下に投げた。この時点でも、何とかクライムダウンできると思っていた。
ところが、これが結構悪くて怖い。
左のつるつるのスラブを滑り台にするか、右の急な草付をクライムダウンするか選択を迫られた。
結局、必死の思いで右の草付を下りたが、この合宿で最も怖かった。
そんなこともありながら、室堂へ降りみくりが池で温泉に入り、特急と新幹線でその日のうちに自宅に帰った。
こうして、長い長い剱生活が終わった。
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総話
今年の夏は長かった。屋久島へ行く電車も長かったが、剱での生活はもっと長かった。
その分終わったときの達成感・満足感は今までの山行で一番だった。
僕は、やはり研修に参加したおかげで技術的に大分ましになって、なんとかこの合宿を終えることができた。
アルパインクライミングの面白さを感じたし、もっとうまくなりたいとも思った。
さて最後に研修に参加して感じたこと書くと、それは時間を守る重要性である。
歩くペースが遅かったりクライミングが遅かったりするのは、体力や技術が足りないからでそれはトレーニングや経験を積めばいい。
そうじゃなくて、出発時間を決めてそれを守るとか、休憩時間を決めるとか、そういうすぐにできることをやらなくてはいけない。
山では、早出早着が基本であり、それが余裕をもった行動となって安全につながる。
まして、クライミングを行うのであれば無駄な時間はなるべくなくさなければいけない。
研修では、山を降りてからみんなで振り返りを行って無駄な時間を分単位で計算した。
そのくらいのスピードに対する意識が必要ではないか。
そういう意味でチンネに行く日は、明るくなると同時に出発でき良かった。
研修所では、毎日風呂に入れるしベットで寝れるしご飯も出るし洗濯もできる。
後泊もできるから、来年も誰か行ったらいいと思う。
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