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行程
- 7月30日 浜松=鹿児島=種子島
- 7月31日 種子島=宮之浦港=大川の滝−大川680m
- 8月 1日 大川680m−永田岳1750m−鹿之沢小屋
- 8月 2日 鹿之沢小屋−永田岳−宮之浦岳−縄文杉−白谷雲水峡−宮之浦港
- 8月 3日 宮之浦港=鹿児島=浜松
メンバー
平気
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貯まったマイレージで名古屋・鹿児島往復券をゲットし、試験期間が終わった後、屋久島へ行って来た。
今回は屋久島が初めてとのこともあって、沢登りとメジャーな観光スポットを含んだ横断計画を作った。
沢がきれいで、梅雨明けの快晴に恵まれ、山が素晴らしく、楽しい旅行だった。
text,photos:平気
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7月30日 快晴
浜松=中部国際空港=鹿児島=種子島
桜島が噴火していて、湾の向こうにそびえていた。目の前に奄美風の料理とオリオンビール。
最高の旅行の本質的な始まりは鹿児島の港にあった。ザックはガスを買った好日山荘に置いといてあった。
食べ終わったらバスで七ツ島の安いフェリー、「はいびすかす」へ。バスとフェリーで茨城と岐阜の人と
知り合って、3人で鹿児島の焼酎を飲みながら一人旅の素晴らしさについて話の花が咲いた。
フェリーは夜間種子島で止まった。クーラーが寒く、毛布2枚が必要となった。
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7月31日 快晴
=宮之浦港=大川の滝10:20 - 遡行開始0m 10:30 - 大川490m 14:30−680m 16:30
バスで島の向かい側(南西)まで行って、海岸に下りた。川口付近に猿が木陰にいた。すぐそこに
60mの大川之滝(おおこのたき)。もう暑かったので釜に泳いだが、直登に人工登攀が必要に
見えたので、40m程度右のブッシュを登り、シダ帯を左にトラバースし、上部のフェースを
登った。上からターザン飛込みができそうだ。ゴルジュにある二つ目の滝も右から簡単に巻いた。
三つ目の滝はバスケコートくらい大きさの釜を持ち、泳いで渡って滝のすぐ右のクラックを
登った。高さ15mくらいあって、ディープウォータークライミングの感じなので、ロープは
要らない。上の足がない草付強引・フェースは気持良く緊張する。V〜W程度で、
この沢でもっとも登攀が楽しい滝だ。
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f3からは順調な小滝とゴーロ帯が続いた。日が暑く、わざと泳いだりして、休憩するときに
も泳いだり、なめ滝を滑ったりした。林道の横切る橋を過ぎると、川床に転がっている岩が
だんだん大きくなり、ボルダリング的な要素が多くなった。川に倒れた屋久杉も現れ始めた。
680mの右岸から落ちる小滝の手前にハンモックを張った。
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8月1日 晴時々曇
7:30 - 七ツ渡し 14:30 - 永田岳1750m 17:00 - 鹿之沢小屋 17:20
ハンモックの快適さにやられて起きるのが遅かった。その分出発の準備を早く済ました。
780mの右岸から落ちる滝を過ぎたら(ここは川原が広いが、タープを張るのが難しい)、
滝の連続になった。ほぼ全て直登できるが、上部15mゴルジュの3段滝は泳いで取り付き、
1段目を登ったら、チョックストーンに道が防がれた。ボルト2〜3本打てば越えられそうだ。
1500mからの七ツ渡が美しい。滑らかな川床が続き、シーンが日本園の様。
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七ツ渡しを過ぎて、いくつかの小滝を越えたら沢が狭くなり、ブッシュに覆われるように
なった。硬い木と戦う興味はなかったので左の斜面を登り始めた。下は木が大きく、獣道が
あって何とか大丈夫だったが、中間からブッシュが細かくなって苦労した。著者が体験した中
悪さで一番の藪漕ぎだった。(全体的に言うと、前年7月の5時間かかった御堂沢がまだひどかったが。)
標高150mをとるのに2時間以上かかってしまって、
しかも途中から水筒に水がないことに気づいた。屋久笹帯に出たら力がほぼ抜かれ、頭がぼうっとして
いたため、確実に水がある鹿之沢小屋に戻ったほうがいいと考えた。無人小屋で、
お金はかからなかったが鼠がいた。要注意。
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8月2日 晴
6:30 - 永田岳 7:10 - 宮之浦岳 8:40 - 縄文杉 11:40 - 森林鉄道 13:00 - 辻峠 14:30 - 三本杉 16:50 - 海 18:30 = 宮之浦港
朝まだ暗いうちに起きて、小屋の中で朝ごはんを作った。5時半頃雨が20分降ってきた。そとに出たら晴れていたが、
屋久笹が濡れていて、短パンと靴がびしょびしょになった。永田岳からの景色はもののけ姫の最後に出た山みたい。
しかも険しさもあって、岩場としては、小川山みたいなスラブ・クラックのルートが開拓し放題に見えた。
小さな島だと思えない、アルプスの景色だった。
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人間に馴れた鹿がたくさんいた。
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縄文杉は大きなプラットフォームがあり、観光客でアリの巣になっていた。写真を撮ったら速く逃げた。
縄文杉から谷まではずっとプランク道だった。例のハイヒールでも問題ないだろう(?)。
谷には森林鉄道が走っていた。まだ電車があるだろうか。
辻峠に上ったら、上の岩に金のフルートを吹いている女の子がいた。ちょっとうらやましい。
自分の銀のものを持って来れば楽しかったな。
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雲水峡はもののけ姫のしし神の森みたい。精神を癒してくれる場所だった。人も意外と少なく、ゆっくりできた。
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城之川のそばにある古い道を降りた。1800世紀に伐採のために使われていた道らしい。やっと海が見えてきたとき、
足の裏にかなりの豆ができ始めていた。地方道に着き、海岸まで進み、島の横断を終了した。
近くのスーパーでお土産、夕食と酒を買ったら、バスで港に戻った。日本語が分からないオランダ人に
案内してあげてから公園で夕食を作ってビバークした。疲れただけで虫や暑さは全く気にならなかった。
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8月3日 晴
宮之浦港=鹿児島=中部国際空港=浜松
「はいびすかす」で往復割引を利かし、安く帰った。丁度船が出港したとき、屋久島で雨がザーザー降ってきた。
なんといっても今回はラッキーだった。鹿児島をさまよって、浜松に帰った。疲れたがとても楽しい山行だった。
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総話
沢登として、海からほぼ山頂まで沢一本で登れるのが大変魅力的だ。今回七ツ渡から登山道に出れば
藪漕ぎをせずに済んで、そのほうが楽しいだろう。最後の細い沢で藪を漕いでもあまり充実感が上がらない。
特に難しい巻きや登攀がないが、内容的に面白くてとてもきれいな大川は単独行動、
または初心者パーティーに丁度いい沢だと思う。屋久島の沢をまた登りたい。
山は不思議な景色だけのためにも、登る価値がある。笹帯に着く前の杉帯がすごい。縄文杉は人が多すぎて
残念だったが、少しマイナーな登山道でも目が飛ぶものが多いだろう。
一人旅はやっぱり楽しい。自分だけの時間もあれば新しい出会いも沢山ある。九州や南の島の
人が親切で常に笑顔だ。屋久島の自然が美しい。海の風が顔の肌に気持いい。
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