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山行報告:沢合宿2005:八久和川


ルート図

行程

  • 8月3日  静岡=村上=鼠ヶ関
  • 8月4日  鼠ヶ関=鶴岡=八久和湖・葛城沢手前
  • 8月5日  葛城沢・大ゴルジュ・長沢
  • 8月6日  芝倉沢・小国沢・自然プール・平七沢
  • 8月7日  平七沢・オツボ沢、呂滝の間
  • 8月8日  停滞
  • 8月9日  呂滝・雪渓・滝連続帯・狐穴小屋
  • 8月10日 狐穴小屋・大朝日岳・佐沢=山形
  • 8月11日 山形=東京=静岡

メンバー

河合、真先、中岡、平気


八久和川!東北の奥山の中に眠っている、長さ18キロもある川。しかも殆ど毛虫記号が ついていて、下流で大量の水を握り出すゴルジュ、上流で滝や雪渓、見事に変化に富んだ 沢である。

この報告は現在2006年の5月、今年の新しい沢をわくわくしながら書いていた もので、時間が経ったので若干ズレているところがある鴨知れない。

text&photos:平気


8月3日 晴れ
静岡=村上=鼠ヶ関

浜松、東静岡より出発し東北に向かった。電車で時刻表を見たところ、間に合うために 新幹線に乗らなければならないと見て熱海・小田原間新幹線に乗ったが、結局意味無し。 今度の参考として、湘南新宿ライナー快速が増えたおかげで、日本海側東北へ行く場合でも、 上越線より東北本線の方が早い。

しかしこれは大した問題ではなく、途中ビールを買ったり、電車で飲んで、周りの祭りに 行く人に白い目で見られなかった。村上の大きなジャスコで半額セール品とワイン2リットル を買って、晩飯にした。ただもう山形県に着いたとき、研究室の先生から、 「今晩だけ浜松に戻って」とのメールが困ったことに届いた。でももう戻ろうが遅かった。

鶴岡まで行けなかったのでビバークは鼠ヶ関のビーチにした。ビバークというか酔い潰れというか。


8月4日 晴れ
鼠ヶ関=鶴岡=八久和湖・葛城沢手前

出発! 鼠ヶ関を出て鶴岡まで。鶴岡から八久和ダムまでのタクシーが一万円強もした。しかも 途中地滑りで道が壊れており、歩きとなった。湖から南にある川を目指し、橋が壊れたり してあって、理論上、登山道があったのに藪漕ぎが多かった。八久和川を沿って登り、 ちょっとした地図読み失敗以外に問題なくムガケ沢の合流点まで。遡行開始。

最初は穏やかな流れだったが、しばらくしたら急流が出て飛び込んで左岸の岩壁にロープ を張って突破した。その以外はへつり、泳ぎ。真先は水泳力抜群だということが 分かった。

ロープを使って左岸を登る! タープを張らずに幕営地にした葛城沢辺りは快適で、まきが簡単に集めたが、夜になったら 地獄出身の小虫が現れ、生肉が奴等に食われてかゆかった。特にシラフカバーを持ってこなかった 真先と著者は。(私はハンモックを持って来て、シラフカバーは要らないと思ってきたが、 真先は単に忘れていた。生きて帰れたことは、ビバーク道具無しでも1週間沢には行ける 証拠となる。これから皆、フヨウな荷物を家に置いて沢へ行こう!)


8月5日 晴れ
葛城沢・大ゴルジュ・長沢 左岸をへつる

朝6時に動き出し、釣をしながら登ったが、岩魚の食欲には明らかに問題があった。 ゴルジュに入る前に私が一人で先に行っており、待っていたが他の人がなかなか こないので進んで行った。が、流れが強いところから戻ろうとした時、足がとられて 流された。必死に岩をつかんで岸に戻れたが、登っていたと向かい側だった。 暗くて寒い場所だったので、ちょうど隣にルンゼがあり、これを登って川が曲がった ところで降りようと思ったが、そのルンゼ以降はずっと崖が続いていた。ロープ もなかったので、次の木を利用して何とか沢に戻れるところまではかなり長い高巻き だった。

戻ったらみんなが前か後ろか分からなかったのでインディアンが使ったケルン似の マークをいくつか作っておいて、進んだり待っていたりしていったが、結局 後ろから来た仲間と無事合流できた。著者が流されたところはロープを出して いたらしい。当たり前だが、著者みたいに馬鹿じゃないから。

幕営は長沢あたりの広い川原にした。ハンモックも張れて快適だった。


岩の上から釣をする 8月6日 晴れ
長沢・芝倉沢・小国沢・自然プール・平七沢

好天が続くなか、行った。長沢と小国沢の間のゴルジュは前日ほど時間がかかる だろうと思い、よい幕営地があるらしい小国沢までいけたら十分だと思ったが、 ゴルジュは大したものではなく、朝9時まで通過した。そこからの遡行も 難所がなく自然プールまで進んだ。途中拾った毛虫で岩魚を釣れ、中岡も一匹釣った。

自然プールより先のゴルジュは力が要る泳ぎで、ちょっとロープを出して、トラバースクライム でも行った。が、上部には激しい滝があって、真先を空身でロープ泳ぎに出した。 うまくやってくれて、通過できた。ゴルジュを過ぎた広い川原の南で川が曲がったところに ハンモックを張った。他の皆は星空の下で。

泳ぐ真先 自然プール等下流を高巻いた単独行動者が夕方近くに現れた。夜は岩魚を焚き火で焼いて 食べた。なかなか旨かった。

焚き火で岩魚を焼く

8月7日 時々雨のち曇り
平七沢・オツボ沢と呂滝の間

我々が朝ごはんを作ってる食ってる時、単独行動者が岩魚10匹釣った。 と言ったが、こちらは昨日何もつれてないから嘘に決まってる。 それとも地元の人の必殺技?要研究。

出発してしばらく雨が降ってきた。前日、天気図を取る時間がなかったので、 雨の中、朝10時の天気図を何とか描いた。微妙だったが、とりあえず 雨の中進んでいった。

大きな滝 登山道を通り過ぎ、オツボ沢合流点より南で沢が曲がるところの滝が見事だった。 中岡がここで40センチの岩魚を釣ったことがあったらしい。 ちょっと話し合って、右岸の枝沢より巻くことにした。左の岩場もへつっていける らしいが、滑落は致命的だということで。

ここを過ぎたら、また川原が出て、もっと上には合理的なビバークサイトがない だろうと地図を見て判断したから少し低い砂川原にした。 午後は、釣りだけに来たパーティーが通って、岩魚をくれた。感謝。


8月8日 雨
停滞

朝、進むか、日程に余裕があるから1日休むかと議論した結果、 停滞することにした。ポップコーンを焼いたり、酒を飲んだりしたらみんなが 朝からころ寝。だが、朝9時半から雨がポツポツ降ってきた。タープを横に張って、 更に酒を飲んで、オートミールを作ったりして。雨の中にタープの下で快適なころ寝。

著者がなぜか午後1時くらい起きて、川の幅が前広くなっていることに気づいた。そこで あちらこちらにあった皆の物をタープの近くに運んで、寝続けた。だがしばらく経てば、 空で誰かが蛇口を満開したかの様、ザーザーと振ってきた。30分、一時間位経てば、 風を除いた台風並みになっており、沢がもう明らかにごっぽう増水していた。 水が迫ってきた。斜面も川になっていた山に避難する覚悟をした。

だが幸いなことに、水がタープ1.5メートル手前まできたら、もう上がらなくかった。 そして雨も若干弱まった。気がした。寒かった焚き火が欲しかったが、 ガス缶で料理を作るしかなかった。 夜は完全にぬれた服で、ハンモックが張れずにレスキューブランケットしかなかった。30、 40回くらいは起きたかな。 が、真先はアルミホイル如きレスキューシートしかなく、濡れた寒さで寝れなかったに違いない。

川、増水中 川、増水後

8月9日 晴れ時々曇り
呂滝・雪渓・滝連続帯・狐穴小屋

スノーリッジ 朝は晴れ。透明に近いイエローの朝日で照らされたタープ周辺が別世界に見えた。 前日の泥水鬼軍がどこかへと消えており、川が魔女の目に似た不思議なディープグリーン に戻っていた。

出発した。曲がるところの滝は直登し、 呂滝は左の滝から巻いた。水量が落ちて、西俣沢の分岐から中俣沢までは 数年前に激しいゴルジュがあったらしいが、今回は埋まっていた。
中俣沢に入ったら黄色いモノが転がっていて、何だろうかと見に行ったら ライフジャケットだった、しかも良品。ゲット。ちょっと進んでから現れる滝は 当初、巻くだろうと思ったが、近くまで行けば空身で直登できそうだったので 登って荷上げをして突破。その前に中岡が滝の下部を滑り台にして遊んで、怪我をした。 かわいいな。テーピングしたら皮膚が後で変な色になった。
出口から狭い蛇行沢をつみ、スノーブリッジが現れた。最初のを氷のブロック の中に泳いでくぐって、次からは軽アイゼンを鮎たびに付けて歩いて越えた。 雪渓になって、所々の落ち穴を避けながら巻いたり、へつったり進んだ。 最後に来た真先が草付きから7m位落ちた。音をせずに。事情を知ったのは、大分 後からだった(「あぁ、そういえば、ちょっと落ちたな」)。落ちたら声を出せよ。 死んだら、遺体は大体どの辺にあるかを知らせるためにでさえ。

また進んだら、連続した滝が何本か現れた。これらを左から岩登った。 リッジクライミング的で、楽しかった。最後の滝は著者だけが直登したが(見ている みんなが、私落ちると思っていたらしい!馬鹿か。落ちるもんか。まぁぎりぎりだったけど。) 、ほかが使った左のルンゼの巻道のほうが難しかったかもしれない。

滝 風が吹いてきて、出口付近に置いたザックが岩から数メートル転がって防水ケースが 妙に壊れたが、まだ防水が利いて大丈夫。かなり狭くなった沢を進んで、 周りの山がもうまろやかになっていて、花畑が出てとてもきれいだった。 あっという間に狐穴小屋についた。

幕営禁止になっていたらしかったが、ころ寝ならまぁ大丈夫だと小屋の人から聞いた。 沢に拾った山菜をてんぷらにし、午後を過ごした。が、雨が降ってきて、不快に なりそうだったが、小屋の人が乾燥室に入らせてくれた。とても有難かった。


8月10日 曇りのち雨
狐穴小屋・大朝日岳・佐沢=山形

三方境にて 大朝日へ向かって出発。三方境に登って、オフィシャルに遡行終了。 前日怪我をした中岡がまだちょっと体調が悪かったが、さすがに何気なく 縦走した。雨が降ったり、やんだり、霧が出たりしたが、 竜門山と大朝日を経由して古寺鉱泉に下山した。

ここは風呂が一つしかないので男女順番待ちになる。が、 タクシーが来るのにも一時間以上かかるので、大した問題ではない。 待っている間、ビールと遡行からあまった酒を飲んで最高だった。 左沢までのタクシーは14000円くらい。左沢で吹奏楽団がコンサート をやっており、興味深かったが、その以外にはエンターテインメント面で少々 劣っており、山形まで行くことにした。

山形にはエレガントな居酒屋やレストランがいくつかあったが、結局中岡達が数年前に行って 追い出されたところに行った。食べたら、長い遡行が終わっただけあって、梯子で次の店を 探しに行けばあら!ビールなど酒が半額になっていたお店発見。かなり遅い(朝早い)時間まで お世話になった。


8月11日 素面でない
山形=東京=静岡

朝出発して、福島で長い乗り換えがあったので近くの海外輸入食品の 店を訪れた。スナックフードや韓国の第三のビールなどを買った。 東京に着いたら、時間があったのでカラファテへ買い物に行った。 昼ごはんも東京で食べて、酒を買ってからいよいよ東海道線。 東京から静岡までずっと酒を飲んでいたため、着いたとき皆が 目が回るほどハッピーだった。電車で14時間も旅立ったので 周りの白い目はもうどうでもいい。こうやって沢合宿が、 始まったと同じ風に終わった。



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